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第164回月例発表会(M2)

2025-01-18

2025年1月18日の第164回月例発表会において,松村 学(M2),黄 一凡(M2),東田 悠希(M2),松下 翔太(M2),森田 暉之(M2),坂本 拓馬(M2),山崎 慎也(M2)の7名が以下のタイトルで発表を行いました.

自動運転と手動運転の混在環境における時空間グリッド予約による道路合流調停手法(松村 学)

20250118 GMatsumura
近年、協調型自動運転車両に関する研究が進められている.協調型自動運転では,V2V(Vehicle-to-Vehicle) 通信やV2I(Vehicle-to-Infrastructure)通信を用いて,自車両の情報を基に走行経路を事前に決定することで自動運転車同士が協調的に走行することが可能となる.協調型自動運転の走行調停手法として,ダイナミックマップによる時空間グリッド予約の利用が検討されている.時間と道路空間を区切って作成したセルの集合体を時空間グリッドとして定義し,車両は走行したい時空間グリッドを事前に予約することで車両走行の調停をとる.しかし,時空間グリッド予約による走行調停手法は,全ての車両が自動運転車両であることを前提としている.自動運転車両の完全な普及は長期にわたることが想定されているため,通信機能を持たない従来の手動運転車両を考慮した自動運転車両の制御手法の提案が必須である.本研究では,協調型自動運転車両と通信機能を持たない手動運転車両が混在する環境において,時空間グリッド予約による道路合流調停手法を提案する. 手動運転車両の走行経路を予測した時空間グリッド予約を行うことで,手動運転車両との混在環境を考慮した協調型自動運転車両の時空間グリッド予約を実現する.協調型自動運転車両を制御することで効率的かつ安全な合流調停を目指す.

Graph Neural Networks for Dynamic Resource Allocation in V2X Communications(黄 一凡)

20250118 YiHuang
V2X, or "vehicle to everything," refers to the exchange of information between a vehicle and its external, enhancing safety and efficiency. It demands high data rates, reliability, and low latency, with resource allocation being critical. Traditional resource allocation methods often struggle to meet the rapidly changing communication conditions in V2X communication quickly and efficiently. This research explores a dynamic resource allocation method for V2X communications based on Graph Neural Networks (GNNs). To address this issue, we propose a network framework that collects data from both vehicle and infrastructure sides, and uploads it to a server-side GNN model. By leveraging the global feature learning capability of GNNs, the framework integrates global information to formulate allocation strategies. These strategies partition spectrum resources and control transmission power to maintain a balance between the low-latency, high-reliability requirements of V2V links and the high data transmission rate demands of V2I links.

局所性鋭敏型ハッシュを利用したコネクティッドカーのプライバシ保護方式(東田 悠希)

20250118 YHigashida
近年,情報通信技術を搭載したコネクティッドカーの研究が盛んに行われている.コネクティッドカーは,自車両の速度や位置情報等の車両情報と識別子を含むメッセージを定期的にブロードキャストし,交通の安全や交通流効率化のアプリケーションを活用することが期待されている.しかし,このメッセージはほとんどが平文で送信されるため,悪意のある攻撃者にメッセージを盗聴されると,識別子から車両の位置情報を追跡され,運転者の勤務先や自宅などのプライバシを侵害される可能性がある.この問題に対し,車両毎に一意に割り当てられた固定の識別子に代わり,仮名と呼ばれる一時的な識別子を用いる方式が標準化されている.仮名を様々な条件で継続的に変更することにより,識別子を基に車両を特定する攻撃者の追跡を困難なものとする.しかし,この仮名を用いた方式にも,リンク攻撃と呼ばれる,仮名変更後の車両と仮名変更前の車両を特定する攻撃が存在する.本研究では,より類似する車両情報を持つ類似車両を,近傍点探索アルゴリズムの局所性鋭敏型ハッシュによりクラスタリングし,類似車両で協調して仮名を変更することで,高いプライバシ保護を可能にする方式を提案する.

協調型自動運転のための路側センサによる占有格子地図を用いたオブジェクト移動予測手法(松下 翔太)

20250118 SMatsushita
近年,自車両の車載センサに加え,通信技術を介して取得した他車両の車載センサや路側センサの情報を活用する協調型自動運転の研究が行われている.センサとしてレーザー光で対象物までの距離を計測する LiDAR センサ (Light Detection And Ranging)が広く使用され,センサ情報の共有にはセンサ間で共通の格子状の地図である占有格子地図を用いる手法が検討されている.しかし,路側センサは車載センサと比較して高所に設置されるため,センサが検知できない未知領域が増加し,道路環境を正しく占有格子地図に反映できない問題がある.加えて,車載センサの既存の推定アルゴリズムでは,発生する未知領域を認識できないため,歩行者や車両などのオブジェクトが存在しないと推定された領域であっても,オブジェクトが突発的に出現する危険性がある.また,占有格子地図は各セルが独立して占有確率を推定するため,セル間のオブジェクトの移動を考慮できない問題がある.そのため,オブジェクトが車道へ移動してきた場合に,車両の急減速や急停車を引き起こす危険性がある.本研究では,未知領域の大きさに基づき占有確率を決定するアルゴリズムを適用して占有格子地図を推定し,得られた占有格子地図から機械学習によりオブジェクト移動を考慮した未来の占有格子地図を予測する手法を提案する.

協調型自動運転におけるフリースペース情報共有の有効性(森田 暉之)

20250118 TMorita
近年,車両が路側センサを備えた路側機や周辺の他車両との間で通信を介して情報共有を行い,効率的な走行を実現する協調型自動運転が注目を集めている.自車両の車載センサでは見通せない領域の情報を取得することで,車載センサの検知範囲を超えた周辺環境の認識が可能となる.自車両の車載センサの情報だけを用いて自動運転制御を行う,自律型自動運転も協調型自動運転の一部である.協調型自動運転では,センサで検知された物標は物標情報として共有される.ここで,物標は車両や歩行者,障害物等を指し,物標情報は物標の大きさと位置座標,速度,固有の識別番号で構成される動的情報である.物標情報により,車両は周辺環境に存在する物標との位置関係や走行可能な領域を把握できる.しかし,すべての物標に関して物標情報を取得できる保証はなく,通信エラーやセンサの設置環境の悪化により物標が存在するにもかかわらず物標情報を取得できないとき,物標は存在せず安全性は一様とみなされる.また,物標情報の出力はセンサの検知範囲で物標を検知した際に行われるため,物標が存在しないことによる無出力と,物標の検知漏れによる無出力を判別できない.つまり,変化の激しい複雑な道路環境には,物標情報のみでは回避できない,潜在的な危険性がある.本研究では,道路上及びその周辺を対象に物標が存在しない領域をフリースペースと定義し,センサに基づいてフリースペースと判定された領域をフリースペース情報として,物標情報と併せて共有することを検討する.シミュレーション実験を行って,協調型自動運転においてフリースペース情報を共有することの有効性を示す.

製造者通信ポリシーを用いたネットワーク仮想化技術による IoT セキュリティシステム(坂本 拓馬)

20250118 TSakamoto
近年,Internet of Things(IoT)の発展により,多様なモノがインターネットに接続され利便性が高まる一方で,セキュリティ上のリスクも高まっている.IoT デバイスは,最低限の性能を発揮する CPU やメモリしか保持していないことが多く,セキュリティ対策を IoT デバイスに直接適用することは困難である.また,ホームネットワークのユーザは一般的にセキュリティ知識を持っておらず,ユーザ自身でセキュリティの設定を行うことは困難である.そこで,IoT デバイスの製造元が通信要件を定義し,通信制御を行う Manufacturing Usage Description(MUD)が提案されている.実際に,Software Defined Networking(SDN)を用いて中小規模のネットワークに MUD を適用する方式が提案されている.しかし,ローカル環境内部からの攻撃には弱いといった問題がある.そこで本研究では,MUD をネットワーク仮想化技術を活用してホームネットワークに適用する.また,侵入検知システムによって通信を監視し,攻撃を検知した場合,攻撃元デバイスをネットワークから隔離することでセキュリティリスクを最小化するシステムを提案する.

車両の走行環境を考慮した協調認識メッセージにおける冗長性緩和手法(山崎 慎也)

20250118 SYamasaki
近年,車両の周辺環境の認識を向上させる技術としてCPS(Collective Perception Service)に関する研究が盛んに行われている.車両と路側機がセンサで検知したオブジェクトの座標,速度,加速度,方向などのオブジェクト情報をV2X(Vehicle-to-Everything)通信を用いて他の車両や路側機と共有することで,車両の周辺環境の認識が向上し,交通の安全性の向上が期待されている.現在,ETSI(European Telecommunications Standards Institute)はCPSの標準化に取り組んでおり,車両と路側機がセンサで検知したオブジェクト情報を送信するためのメッセージであるCPM(Collective Perception Message)の規格を定めている.車両がセンサで検知したオブジェクト情報と以前に受信したCPMに含まれるオブジェクト情報をCPMに含みブロードキャストすることでオブジェクト情報を共有する.しかし,複数の車両がCPMを定期的にブロードキャストすることにより,冗長なオブジェクト情報を複数回共有する可能性があるため,通信帯域が逼迫する恐れがある.通信帯域が逼迫すると車両が必要とするCPMを受信することができなくなる可能性があり,車両の周辺環境の認識の低下に繋がる.この問題に対して,ETSIは冗長なオブジェクト情報を削除することでCPMのメッセージサイズを縮小する手法であるRMR(Redundancy Mitigation Rule)を複数提案している.しかし,提案されたそれぞれのRMRによってオブジェクト情報の冗長性の評価が異なるため,車両台数や車両の速度,加速度などによってCPSの性能が低下する恐れがある.また,提案されたRMRでは歩行者を考慮していないため,歩行者に関するオブジェクト情報がCPMから削除される可能性があり,歩行者の安全を確保できない恐れがある.本研究では,提案された3つのRMRを組み合わせて冗長性が大きなオブジェクト情報を抽出し削除することで,メッセージサイズを削減し通信帯域の逼迫を低減し周辺車両の認識を向上させる手法を提案する.

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