NISLAB

第92回ITS研究会

2023-03-08

2023年3月8日の情報処理学会 第92回高度交通システムとスマートコミュニティ研究発表会において,平光 樹(M1),宮脇弘充(M1),西川瑳亮(M1)が以下のタイトルで発表を行いました.

走行環境に対応したフリースペース危険度の段階的可視化の考察 (平光 樹)

ITS92 THiramitsu

近年, ITS(高度交通システム)による安全運転支援の研究が行われている. ITSにより,路側インフラ設備や車両と通信を行うことで運転手に危険性を伝え,事故の防止につなげる取り組みが広まりつつある.しかし,未だに交差点など見通しの悪い道路状況においては減少傾向にはあるものの事故は発生している.そのため ITS によって運転手により効果的に危険度を伝え,安全な走行を促すシステムが必要である.本研究では,車載センサによって車両前方のフリースペースの危険度を段階的に管理することで正確に危険度を定め, HUD(Head Up Display),車々間通信によって,死角のある交差点を右折する際の危険度を死角車両のフリースペースの状態から判断し,運転手に AR 表示することで安全に右折することを可能にする手法を提案する.なお,死角に存在し自車両からでは視認することのできない車両を死角車両とする.

自動運転における緊急回避情報を用いた安全性向上手法の検討(宮脇 弘充)

ITS92 HMiyawaki

近年,自動運転技術に関する研究が活発に行われており,今後普及することが期待されている. また,V2X(Vehicleto-everything) 通信を利用して周辺車両や路側機と通信を行うことで,車載センサの死角や周辺車両の情報を得ることができる車両もある.V2X通信と自動運転技術を併用することにより,現在に比べ安全で効率的な交通になることが期待されている.しかしながら,自動運転が普及した場合にも,突発的な事故や落下物等の障害物は発生する可能性があり,発生した場合には回避する必要がある.高速道路においては,障害物を検知した車両が障害物情報を周囲の車両に通知する手法が検討されているが,回避の際には他の自動運転車両の存在を考慮する必要がある.そこで,本研究では全ての車両が通信機能を備えた自動運転車である高速道路において,事故や障害物等に起因する緊急回避の際のパスプラン変更に優先度を設ける手法を提案し,安全性を検討する.

リーダ車両を用いたV2X通信における効率的なCRL配布手法の検討(西川 瑳亮)

ITS92 SNishikawa

近年,V2X(Vehicle to Everything)通信に関する研究が盛んに行われている.
このV2X通信は車両の事故防止や渋滞緩和など、交通の安全性や効率を向上させることが期待されている.一方で,車両の位置,速度,方向などを,自車両のIDと紐つけて近隣の車両にメッセージでやりとりするため,追跡が容易というセキュリティやプライバシ面の問題がある。
その解決策の一つとして,仮名と呼ばれる一定間隔で何回も変更される車両IDを与え,それを用いて周囲の車両と情報をやり取りすることで,追跡を困難にする手法が検討されている.この手法では,仮名認証局が,不正な振る舞いをした車両や,機器のトラブル等によって正常な動作が期待できなくなった車両の仮名を失効させる.その失効させた車両のIDや全ての仮名を他車両に周知させるためにCRL(Certificate Revocation List)と呼ばれる失効した仮名のリストを配布する必要がある。
しかし,この仮名変更方式では,失効した仮名が増加するとCRLのデータサイズが大きくなり,CRL配布によって通信帯域が逼迫され、他のアプリケーションの通信に影響を与えてしまう課題がある.そこで,本研究ではリーダ車両にCRLを配布し,その周囲の車両の仮名の有効性検証を引き受けることにより,CRL配布に使用する通信トラフィック量の削減をする手法を提案し,検討する.

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