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IPSJ第86回全国大会2024

2024-03-17

2024年3月15日〜17日の情報処理学会第86回全国大会において,梅田 寛斗(B4),辰己 弘征(B4),田牧 浩月(B4),松本 翔汰(B4),岩井駿斗(B4)の5名が以下のタイトルで発表を行いました.

20240315 HIwai Tamaki

時空間グリッド予約における車線変更を考慮した道路合流調停手法の検討(梅田 寛斗)

20240315 HUmeda

自動運転技術に関する研究において,通信を用いて車載センサ情報を他車両と共有して走行する協調型自動運転が検討されている.協調型自動運転における走行調停手法として,ダイナミックマップを利用した時空間グリッド予約が提案されている.道路上の時間と空間をグリッドに分割し,各車両がどの時間にどのグリッドを走行するかをダイナミックマップ上で管理する.高速道路における走行調停においてこの手法を適用した先行研究では,合流時の車両の加減速が緩やかになり,安全性や走行効率が向上することを示した.しかし,この研究では高速道路の本線での車線変更について考慮しておらず,広域での走行調停ができるという時空間グリッド予約のメリットを活かしきれていない.そこで本研究では,より効率的で安全な高速道路の合流調停を目的とし,高速道路の本線における車線変更を考慮した走行調停の手法を提案する.

Bluetooth5のAOA方式を用いた複数歩行者に対する位置測位の評価(辰巳 弘征)

20230315 Htatsumi

歩行者の急な飛び出しは,車両のドライバが歩行者を認識した際にはすでに回避が難しいということがほとんどであり,人身事故や死亡事故につながることが多い.これは,車両のドライバが歩行者の急な飛び出しを予測できないことが大きな要因である.こうした事故を減らすために歩行者の動きを予測する方法として, LiDARやカメラなどのセンサを用いて歩行者を追跡する研究が行われている.歩行者を追跡した結果,歩行者の現在の位置と進行方向を把握できればその後の動きの予測が容易になる.しかし,LiDARやカメラでは,検知範囲に障害物が存在し死角が発生する場合,歩行者の現在の位置と進行方向を把握できず,追跡が不可能になるという問題がある.この問題を解決するために,複数の路側機に取り付けられたLiDARのセンサ情報を統合することで死角を補完し追跡性能を向上させる研究が行われた.しかし,複数の歩行者が重なった場合は,センサから近い歩行者によってその奥にいる歩行者が遮られるという理由で,歩行者の位置や人数が求められず,複数の歩行者が重ならない場合と比べて追跡性能が低くなってしまう.またこの問題を解決し,重なった歩行者を検知できたとしても,LiDARやカメラなどのセンサでは,複数の歩行者が隙間なく密集して存在すると,密集した複数の歩行者を一つの物体と認識してしまい,追跡性能が低下するという問題もある.したがって,歩行者の追跡性能を向上させ,歩行者の急な飛び出しを予測するために,複数の歩行者による死角や密集などに関わらず,全ての歩行者の位置と人数を正確に求める方法が必要である.本研究では,Bluetooth5を搭載したビーコンタグを歩行者に携帯させ,その周りに受信機を設置することで,歩行者同士の遮蔽があった場合でも歩行者の数と位置を正確に判定することを目的とする.

SDNを用いたV2V・V2N2V通信の併用によるコネクテッドカーの通信品質向上(田牧 浩月)

20240315 HTamaki

近年,車両間の通信に関する研究が活発に行われている.車車間通信は様々な場面において低遅延性と高信頼性が求められており,その中でも特に,車両走行中に遭遇する突発的な危険事象を他車両に通知する際には低遅延性と高信頼性が重要である.車車間通信は主に,車車間直接通信(V2V)と基地局経由の車車間通信(V2N2V)の2方式がある.V2V通信は,車両間が近距離な状況では直接伝送による低遅延な通信が可能である.しかし,車両間が遠距離な状況では,中間車両を介したマルチホップ通信が行われる.そのため,車両間の距離が遠くなるにつれて中継する車両台数が増加し,遅延が大きくなる問題がある.一方で,V2N2V通信では広域なエリアで通信を行うことができる.しかし,車両間が近距離な場合においても基地局を介した通信を行うため,V2V通信と比較して遅延が大きくなる問題がある.
前述の問題点を踏まえて,本研究では,Software-Defined Networking (SDN) を利用し,車車間通信を行う際にV2V通信とV2N2V通信を動的に切り替えることで通信品質の向上を図る.

協調型自動運転における通信遅延を考慮した安全性のシミュレーション評価(松本 翔汰)

20240315 SMatsumoto

近年,協調型自動運転の研究が活発化している.従来のドライバーモデルでは,ドライバーによる加速および減速行動に加えて,自動ブレーキや車線維持などの技術による運転支援を行なってきた.協調型自動運転では,周辺環境の認識および共有等を通信によって行っている.主に4種類の通信方式があり,まとめてV2X通信と呼ばれている.V2X通信を用いることで,自車両の情報だけでなく,道路の動的情報を活用することが可能になる.V2X通信では,通信頻度が高いほど,周辺の車両に対して頻繁に情報が送信される.即ち車両が認知する情報の精度が向上する.本研究では,協調型自動運転における,高速道路走行中の車線変更を行う際のシナリオを考える.車線変更を協調的に行う場合,図1に示すように,走行状態をブロードキャストする手法(以下V2V通信)と,図2に示すようにサーバを用いた手法(以下V2I通信)が考えられる.V2V通信を用いた手法では,複数車両の走行調停に高頻度の通信が必要になり,計算量が増加する.計算量の増加は,通信遅延発生の原因となり得る.一方,V2I通信では,車両の情報をサーバに集約することで効率的な通信が可能になる.しかし,サーバを経由するという特性から,通信遅延が大きくなる可能性がある.そこで,本研究では通信の遅延を考慮した上で,信頼性および安全性を担保できる安全な情報伝達範囲をシミュレーションによって検討する.

ぷよぷよテトリスにおけるゲームAIアルゴリズムの比較(岩井 駿人)

20240315 HIwai

近年の人工知能(AI)の進化によって,様々なビデオゲームにおいて人間のプレイヤーよりも好成績を出すゲームAIが開発され,その一例として,ZetrisやCold ClearなどのテトリスのゲームAIが挙げられる.これらのテトリスのゲームAIはテトリスのプロを圧倒的に凌駕する強さを実現しており,ぷよぷよテトリスというゲームを起点にその実力が注目されるようになった.ぷよぷよテトリスは,ぷよぷよとテトリスの二つのパズルゲームを組み合わせたゲームで,プレイヤーはそれぞれ得意なゲームを選択して対戦することができる.ぷよぷよに対してパズルゲームで有用性が示されているアルゴリズムを適用した例は存在する.例えば,2手先までの全探索アルゴリズムを実装しているmayahが従来手法として挙げられる.しかし,それらのアルゴリズム同士の比較やぷよぷよテトリスにおける有用性を示した研究はない.ぷよぷよとぷよぷよテトリスは戦術が大きく異なり,ゲームAIのアルゴリズムはそれぞれのゲームに最適化されると考える.そこで本研究では,ゲームAIで扱われる複数のアルゴリズムをテトリス相手のぷよぷよに適用し,アルゴリズムの有用性を比較することを目的とする.

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